睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止または低下する疾患 です。これにより、睡眠の質が低下し、日中の強い眠気や集中力の低下 を引き起こし、放置すると 高血圧や心血管疾患のリスクが高まる ことが知られています。
睡眠時無呼吸症候群には主に 2種類のタイプ があります。
1. 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA: Obstructive Sleep Apnea)
- 最も一般的なタイプ
- 喉や上気道が塞がることで呼吸が止まる
- 肥満・扁桃肥大・顎の形状が主な原因
2. 中枢性睡眠時無呼吸(CSA: Central Sleep Apnea)
- 脳の呼吸中枢が正常に働かず、呼吸の指令が出ない
- 心不全や脳卒中が原因 となることが多い
このうち、90%以上が「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」 であると言われています。
睡眠時無呼吸症候群の原因
1. 気道の閉塞
- 肥満(首周りの脂肪が気道を圧迫)
- 扁桃肥大(特に子供や慢性扁桃炎を持つ人に多い)
- 舌の肥大(舌が大きいと寝ている間に気道を塞ぐ)
- 鼻炎・鼻中隔湾曲症(鼻詰まりで口呼吸になりやすい)
- 加齢(年齢とともに喉の筋肉が緩み、気道が塞がりやすくなる)
2. 顎の形状
- 小顎症・下顎後退(顎が小さいと舌が後方に落ちやすい)
- 遺伝的要因(家族歴がある人はリスクが高い)
3. 生活習慣の影響
- アルコール摂取(喉の筋肉が緩み、気道が狭くなる)
- 喫煙(気道の炎症を引き起こし、腫れやすくなる)
- 寝る前の過食(胃が膨らみ横隔膜を圧迫する)
睡眠時無呼吸症候群の症状
1. 睡眠中の症状
- いびき(特に大きないびき)
- 呼吸停止(10秒以上の無呼吸が繰り返される)
- 息苦しさや突然の覚醒
- 頻繁な寝返り
- 口の渇き(口呼吸による)
- 夜間頻尿(低酸素によるホルモンバランスの乱れ)
2. 日中の症状
- 強い眠気(居眠り運転や仕事中の集中力低下)
- 頭痛(特に朝起きた時の頭痛)
- 倦怠感・疲労感
- 集中力・記憶力の低下
- 気分の落ち込み・イライラ
- 高血圧(酸素不足による交感神経の過剰刺激)
睡眠時無呼吸症候群の治療方法
1. CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
- 最も一般的な治療法
- 寝るときにマスクを装着し、空気を送り込んで気道を広げる
- 重症度が中等症以上(AHI15以上)の場合、保険適用
CPAPのメリット
- いびきや無呼吸が劇的に改善
- 日中の眠気がなくなる
- 高血圧や心疾患のリスクを軽減
2. マウスピース療法
- 軽症~中等症の患者に適用
- 下顎を前に出すことで気道を確保
- 歯科で作成可能(保険適用)
- 寝るときに違和感がある人もいる
3. 外科手術
- 扁桃肥大・アデノイド肥大が原因の場合、扁桃摘出術を行う
- 鼻中隔湾曲症や軟口蓋の手術(UPPP)
- 根本的に気道を広げるが、適応が限られる
4. 生活習慣の改善
減量
- 肥満が原因の場合、体重を5~10%減らすだけで症状が改善
寝る姿勢の調整
- 仰向けより横向きで寝る方が気道が確保される
- 「いびき防止枕」の使用も効果的
アルコール・喫煙の制限
- 寝る前の飲酒を控える
- 禁煙することで気道の炎症を抑える
鼻づまりの治療
- アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎の改善
適度な運動
- 有酸素運動や筋トレで首周りの脂肪を減らし、喉の筋力を強化
まとめ
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に止まる疾患で、特に「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」が多く、肥満や気道の狭さが原因となります。放置すると日中の眠気や集中力低下、高血圧や心疾患のリスクが高まります。
治療にはCPAP療法やマウスピース療法があり、生活習慣の改善(減量・寝る姿勢の調整・禁煙・適度な運動)も重要です。SASは適切な対策で改善できるため、症状が気になる場合は早めの受診をおすすめします。
FAQ
よくあるご質問
- Q
- どのような検査や診断を行っていますか?
- A
- 当院では、耳鼻咽喉科・内科・皮膚科領域の検査や診断方法を提供しています。
- Q
- 花粉症で毎年悩まされています。どうしたら症状が軽減されますか?
- A
- 症状が出てから治療を開始するよりも、花粉が飛ぶ前から薬を予防的に内服すると効果がいいとされ奨励されています。また、通年での治療になりますが、「舌下免疫療法」で症状の改善が期待できます。
- Q
- 自分(親)が受診したいのですが、その間子供の面倒を見てもらえますか?
- A
- 短時間であればスタッフが見ますので遠慮せずご相談ください。ただし処置や検査などで時間がかかると予想される場合や、お子さんが騒いだりしてスタッフが面倒をみれない場合は事故防止のため、他の病院で診察をお願いしたり、もしくはお子さんを他の方に預かっていただき、再度改めてご本人だけで来院をお願いすることもありますのでご了承ください。
- Q
- 予約は必要ですか?
- A
- お電話または予約システムよりご予約下さい。