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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人

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2025.03.04

高血圧の治療には食事療法や運動に加えて、薬による治療があります。血圧や年齢、生活習慣によって、医師が治療の方針を決定します。

健康診断で高血圧を指摘されたら、まずは医療機関を受診して治療を開始することが重要です。

高血圧の薬にはさまざまな種類があり、薬がはたらく仕組み(作用機序)や効果はそれぞれ異なります。この記事では高血圧の薬について、種類とそれぞれの効果を解説します。

高血圧の治療を受けている方、これから治療を受ける可能性のある方はぜひ参考にしてください。

高血圧の代表的な薬6種類と、それぞれの効果

高血圧の薬は作用機序によって分類されます。

主に使われる6種類と、それぞれの効果をまとめました(※1)。

薬の種類作用機序
カルシウム拮抗薬細胞内へのカルシウムイオン流入を抑え、血管拡張作用を示す
アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)血管収縮作用を持つアンギオテンシンⅡが受容体に結合するのを抑える
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害)アンギオテンシンⅡが作られるのを抑える
利尿剤塩分、水分の排出を促して血圧を低下させる
β遮断薬交感神経の一部を司るβ受容体を抑えて、血管の収縮や心臓の拍出を弱める
中枢性交感神経抑制薬交感神経のはたらきを抑えて、血管の収縮や心臓の拍出を弱める

各成分が入った薬のほか、近年は複数の成分が入った合剤も販売されています。

(※1)薬がみえる vol.1 循環器疾患治療薬|株式会社メディックメディア

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬の例(成分名)ニフェジピン、ニカルジピン、ニカルジピン、マニジピン、フェロジピン、シルニジピン、アムロジピン
作用血管拡張、血圧低下作用
副作用頻脈、動悸
注意点グレープフルーツジュースにより薬の効果が強くなる

カルシウム拮抗薬は細胞内へのカルシウムイオン流入を抑えて血管を拡張し、血圧を低下させる薬です。高血圧のほか狭心症の治療にも使われます。

カルシウム拮抗薬はグレープフルーツジュースとの飲み合わせが悪いため、カルシウム拮抗薬を服用している間は避けましょう。

アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)

ARBの例(成分名)カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタン メドキソミル、イルベサルタン、アジルサルタン
作用血管拡張、心保護作用
副作用血管浮腫、高カリウム血症、肝機能障害(AST、ALT上昇)、黄疸

アンギオテンシンⅡは受容体を結合すると血管収縮作用を示します。アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB)はアンギオテンシンⅡが受容体に結合するのを抑えて、血管を拡張させることで血圧を低下させます。

アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害)

ACE阻害薬の例(成分名)カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、リシノプリル、イミダプリル、テモカプリル、ペリンドプリル
作用血管拡張、心保護作用
副作用空咳、血管浮腫、高カリウム血症

アンギオテンシン変換酵素は、アンギオテンシンⅡの合成に関わる酵素です。ACE阻害薬はアンギオテンシン変換酵素を阻害して、アンギオテンシンⅡの産生を抑えます。

頻度の高い副作用として空咳(乾いた咳)があり、症状があらわれたら薬の中止や変更を行う場合があります。

利尿剤

利尿剤の例(成分名)フロセミド、アゾセミド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、メフルシド、インダパミド、スピロノラクトン、エプレレノン
作用利尿作用
副作用血中カリウム、カルシウムの代謝異常

利尿剤とは体内の余分な水分や塩分を排出する薬で、体液量を減らすことで血圧を下げる効果が期待できます。

利尿剤の中でもしくみの異なる薬が存在しており、利尿薬の中ではナトリウムの再吸収を抑えるチアジド系利尿薬(トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、メフルシド)がよく処方されています。

β遮断薬

β遮断薬の例(成分名)プロプラノロール、ナドロール、ニプラジロール、ピンドロール、カルテオロール、メトプロロール、アテノロール、ビソプロロール、ベタキソロール
作用心機能抑制作用
副作用徐脈、心不全など

交感神経は全身のはたらきを調整し、血管の収縮や心拍数の増加を引き起こす神経です。交感神経の受容体にはいくつか種類があり、β受容体は心拍に関わります。

β遮断薬は心臓から拍出される血液の量を抑えて血圧を低下させます。

副作用の徐脈が起こるとめまいやふらつきの原因になるため、β遮断薬を服用していてこれらの症状がみられたら注意が必要です。

中枢性交感神経抑制薬

ARBの例(成分名)メチルドパ、クロニジン、グアナベンズ
作用中枢神経抑制作用
副作用めまい、眠気、徐脈

中枢神経、交感神経の受容体の一部に作用して交感神経のはたらきを抑えることで血圧を下げる薬です。

他の薬より使われる頻度は少なめですが、メチルドパは妊娠中でも安全性が確認されているため妊婦に対して使われています。

高血圧の薬を服用するときの注意点

高血圧の治療にあたり薬物治療は重要ですが、適切に服用しないと十分な効果を得られない、または思わぬ副作用が起こるリスクがあります。

高血圧の薬を服用する際の注意点をまとめました。

  • 毎日決まった時間に服用する
  • 自己判断で薬を中止しない
  • 飲み合わせの悪い薬や食品がある

服用の際はこれらの注意点を守り、その上で気になる点があれば医師や薬剤師に相談しましょう。

毎日決まった時間に服用する

服用した時間が不規則だと、飲み忘れたり服用を忘れてしまう原因になります。飲み忘れを防ぐため、高血圧の薬は毎日決まった時間に服用しましょう。

高血圧の薬は1日1回のものが多く、服用のタイミングは血圧の変動や生活習慣を考慮して医師が判断します。

なお、どうしても飲み忘れてしまう方は服薬カレンダーに薬をセットして目立つ場所にかけておくか、医師と相談して薬を服用するタイミングを調整する方法もあります。

自己判断で薬を中止しない

薬を服用して血圧が正常値まで改善したとしても、自己判断で薬を中止するのは危険です。これは現在は血圧が安定していても、薬の中止後にまた血圧が上がる可能性があるためです。

血圧は時間帯や季節によって変動します。例えば寒い季節になると血圧が上がる傾向があります。一時的に血圧が安定していたとしても、薬を中止すると高血圧に戻ってしまう場合もあるでしょう。

高血圧は血管に対するダメージを与えるため、長期的にコントロールする必要があります。高血圧の自覚症状がなく血圧が正常値になっても、薬の服用や通院は続けましょう。もし長期的に血圧が安定していて薬の服用を中止したい場合、まずは一度医師に相談しましょう。

飲み合わせの悪い薬や食品がある

高血圧の薬には、飲み合わせの悪い薬や食品があります。薬の作用が強くなり副作用が起こる、逆に薬の作用を弱めてしまい十分な効果を得られない可能性があるため、飲み合わせには注意しましょう。

血圧の薬以外に服用している薬や健康食品、サプリメントがあれば医師、薬剤師に必ず共有しましょう。あらかじめお薬手帳に記載しておくと便利です。

まとめ

今回は高血圧の薬について解説しました。

適切に服用すれば、高血圧の薬は血圧のコントロールに役立ちます。薬が処方された場合は、運動や食生活の見直しとともに必ず続けて服用しましょう。

ふくろうの森耳鼻咽喉科では、耳鼻咽喉科のほか内科を診療しています。花小金井駅から徒歩5分の場所にあり、ネット予約が可能です。

「高血圧について医師に相談したいけど、どのクリニックに通うか迷っている…」という方は、当院でもご相談を承ります。お気軽にご来院ください。

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