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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.03.04

高血圧とは、慢性的に血圧の高い状態が続くことです。
初期にはほとんど自覚症状がありませんが、悪化するとさまざまな合併症が起こり、重症になると命に関わるリスクがあります。
高血圧を予防、または治療するためにも、まずは高血圧について基本的なことを知っておきましょう。
この記事では高血圧の原因や症状、治療や予防について解説しています。この記事を読めば、高血圧について基本的なことを詳しく学べます。
健康診断で血圧が高いと指摘された方や、高血圧について知りたい方はぜひこの記事を参考にしてください。
目次
高血圧とは?血圧が高い状態が慢性的に続くこと

血圧とは心臓から送り出された血液が血管を押す力を指します。高血圧とは血圧が慢性的に高い状態のことです。
診断基準として、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合が高血圧に当てはまります(※1)。
血圧は変動しやすいため、異なる機会に2回以上測定して確定診断を行います。
病院やクリニックなどの医療機関で測定する血圧が診察室血圧、家庭で測定する血圧が家庭血圧です。必要に応じて家庭でも血圧を測定します。
診察室血圧、家庭血圧ごとの診断基準をまとめました。
高血圧の基準 | |||
収縮期血圧(最大血圧) | 拡張期血圧(最小血圧) | ||
診察室血圧 | 140mmHg以上 | かつ/または | 90mmHg以上 |
家庭血圧 | 135mmHg以上 | かつ/または | 85mmHg以上 |
(※1)薬がみえる vol.1 循環器疾患治療薬|株式会社メディックメディア
高血圧の症状は?最初は無自覚なことも多い

高血圧が進行すると頭痛、めまい、肩こりを感じることがありますが、最初のうちはほとんど自覚症状がありません。
高血圧が続くと血管の壁に対して慢性的に圧力がかかり、全身の血管が硬くなったり脆くなったりします。また血管からの圧力が高いと心臓に負担がかかり、心臓の一部(左室)が肥大することがあります。
高血圧の状態が続いた結果として脳や心臓など全身にさまざまな症状が起こるため、高血圧は早期に治療を開始することが大切です。
症状が進行すると、次のような合併症を引き起こすことがあります(※1)。
主な臓器障害 | 代表的な病気 |
脳血管障害 | 脳出血脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA) |
心疾患 | 狭心症心筋梗塞高血圧性心疾患心不全心房細動 |
腎疾患 | 腎硬化症蛋白尿、腎機能低下腎血管性高血圧 |
血管疾患 | 閉塞性動脈硬化症(ASD)大動脈瘤大動脈解離 |
眼疾患 | 高血圧性網膜症 |
高血圧を放置した時のリスクについて、より詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
関連リンク:高血圧を放置するとどんなリスクがある?
(※1)薬がみえる vol.1 循環器疾患治療薬|株式会社メディックメディア
高血圧の原因

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があり、高血圧の90%が本態性高血圧に当てはまります(※1)。
本態性高血圧 | 高血圧の90%が該当原因が不明 |
二次性高血圧 | 腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫など他の病気が原因で発症する原因となる病気の治療により、高血圧の治療が期待できる |
いわゆる「生活習慣病」と言われる高血圧は、本態性高血圧のことです。
本態性高血圧は原因が明らかでなく、生活習慣や遺伝的な要因によって発症すると言われています。
本態性高血圧に関与している要素として、代表的なものをまとめました。
遺伝因子 | 遺伝子多型、遺伝子変異 |
加齢 | 加齢による動脈硬化、血管の弾性低下 |
生活習慣 | 塩分の摂り過ぎ肥満運動不足ストレスアルコールの飲み過ぎ喫煙 |
(※1)薬がみえる vol.1 循環器疾患治療薬|株式会社メディックメディア
高血圧の治療方法は?生活習慣、薬物療法が重要

高血圧を治療するには、第一に生活習慣の改善が重要です。高血圧を指摘されたら、まずは食生活や運動習慣を見直しましょう。
十分に血圧が下がらない場合、薬物療法が検討されます。
食事療法 | 塩分を1日6g未満に抑える野菜、果物を積極的に摂る飽和脂肪酸、コレステロールを控える不飽和脂肪酸、低脂肪乳製品を摂る |
運動療法 | 有酸素運動 |
薬物治療 | 血圧を下げる薬を服用する長期で服用を続けることが大事 |
その他 | 節酒禁煙ストレスの管理 |
高血圧は長期間の治療が必要不可欠です。日々の治療によって血圧を長期的にコントロールすることで、心臓や血管への負担を軽くします。
治療中は自宅でも毎日血圧を測定し、血圧手帳に記録しましょう。医師や薬剤師は血圧の変動を見て、治療の効果を確認します。
薬物療法では、医師が患者さんの年齢や症状、体質に合った薬を処方します。
高血圧に使われる薬について、代表的な作用機序をまとめました。
薬の種類 | 作用機序 |
カルシウム拮抗薬 | 細胞内へのカルシウムイオン流入を抑え、血管拡張作用を示す |
アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬(ARB) | 血管収縮作用を持つアンギオテンシンⅡが受容体に結合するのを抑える |
アンギオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害) | アンギオテンシンⅡが作られるのを抑える |
利尿剤 | 塩分、水分の排出を促して血圧を低下させる |
β遮断薬 | 交感神経の一部を司るβ受容体を抑えて、血管の収縮や心臓の拍出を弱める |
中枢性交感神経抑制薬 | 交感神経のはたらきを抑えて、血管の収縮や心臓の拍出を弱める |
高血圧の薬について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
関連リンク:高血圧の薬にはどんなものがある?種類とそれぞれの効果を解説
高血圧を予防する方法は?まずは減塩が大事

高血圧を予防するには、治療と同様に生活習慣の見直しが重要です。特に高血圧に該当していなくても、塩分の量には気を付けましょう。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の目標量では、塩分の量を成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満にすることが望ましいとされています。
減塩のために日頃からできることを紹介します(※1)。
- 漬け物は控えるか、塩分の少ない自家製浅漬けを食べる
- 麺類のスープは飲み干さずに残す
- 新鮮な食材を、素材の味を活かして薄味で調理する
- 調味料をむやみに使わない
- 減塩調味料を使って調理する
- 酢・ケチャップ・マヨネーズ・ドレッシングなど、低ナトリウムの調味料を使う
- こしょう・七味・しょうが・かんきつ類など、香辛料や香味野菜、果物の酸味を利用する
- 外食や加工食品を控える
高血圧を予防するために、日頃から塩分に気を付けた食生活を送りましょう。
減塩のほか、高血圧の治療と同じく運動や節酒、禁煙も高血圧の予防につながります。
(※1 参考)高血圧|e-ヘルスネット(厚生労働省)
高血圧の治療はふくろうの森のクリニックへ

今回は高血圧の原因や症状、治療や予防の方法について解説しました。
高血圧は早期に治療を開始することで、症状の悪化や合併症を防げます。無症状のうちに進行することが多いため、健康診断や家庭で気付いた時点で医療機関を受診しましょう。
ふくろうの森クリニックでは耳鼻咽喉科・内科・皮膚科の診療を受け付けています。高血圧や糖尿病など、生活習慣病の治療にも対応しております。
当クリニックは花小金井駅より徒歩5分の場所にあり、ネット予約も可能です。
「健康診断で高血圧を指摘された…」
「高血圧の治療を始めたい」
このような方はぜひ、一度当院へご相談ください。

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