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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人
2025.01.29

血糖値が高くなる糖尿病。
実は糖尿病の症状は血糖値が高くなるだけではありません。
糖尿病の多くは、発症初期は無症状です。しかし、時間の経過とともに全身にさまざまな症状があらわれ、あなたの命をも脅かすかもしれないおそろしい病気なのです。
また糖尿病は代表的な症状以外にも、血糖値が高いもしくは低いとおこりやすい症状や糖尿病を放置しているとおこりやすい症状などいくつかに分類できます。
本記事では糖尿病の代表的な症状に限らず、さまざまな糖尿病の症状を解説します。
また、記事の後半ではご自身が糖尿病かもしれないと気になる方におすすめの、糖尿病セルフチェックリストを掲載。
糖尿病が気になる、気になる症状が糖尿病かもしれないと思っている方は、ぜひお試しください。
目次
糖尿病の症状

糖尿病のうち一番患者さんの数が多い2型糖尿病は、発症初期の段階は自覚症状がないケースがほとんどです。
そのため、知らず知らずのうちに血糖値が高い状態が数年~数十年にわたって続き、体がむしばまれ全身にさまざまな症状があらわれます。
ここでは、糖尿病の症状を以下の6つに分類し解説します。
- 代表的な糖尿病の症状
- 糖尿病の初期症状
- 血糖値が高い(高血糖)とおこりやすい症状
- 血糖値が低い(低血糖)とおこりやすい症状
- 糖尿病を放置しているとおこりやすい症状
- 検査結果にあらわれる症状
代表的な糖尿病の症状
代表的な糖尿病の症状は、以下があります。
- のどがかわく
- 水分をたくさん飲む
- 尿がたくさん出る
- 体重が減る
これらの症状は、血糖値が高すぎると感じやすい症状です。しかし患者さんの中には、血糖値が高くなっていても自覚症状がない方もいるため、注意が必要です。
糖尿病の初期症状
多くの方は糖尿病の初期には自覚症状がありません。
たとえば“心臓病になると胸が苦しくなる”というような、典型的な症状が糖尿病にはほとんどありません。
しいてあげれば、次のような症状を自覚するといわれています。
- 疲れやすい
- なんとなく体調が悪い
- おしっこが泡立つ
- 傷が治りにくい
そのためこのような症状を「仕事や生活が忙しいせいだ」「疲れているだけだ」と勘違いして、糖尿病が見逃されてしまうケースも多いのです。
血糖値が高い(高血糖)とおこりやすい症状
血糖値が高いことを高血糖といいます。
お腹がすいている空腹時の血糖値の正常範囲は70-110mg/dL、食後で140mg/dL未満です。
食事をすると一時的に血糖値は上昇しますが、食事が終わって2時間くらいすると血糖値は正常範囲に戻ります。
しかし、糖尿病になるとこの範囲を逸脱し血糖値が高くなってしまいます。
少し血糖値が高いくらい(200 mg/dL 前後)では、自覚症状はほとんどありません。
さらに血糖値が高くなると(300〜400mg/dl程度)、次のような自覚症状が現れます。
- のどがかわく
- おしっこの量が増える
- 疲れやすい
- 傷やできものができやすく、なおりにくい
- いつもお腹がすく
- やせる
血糖値が高くなるとのどがかわく理由は、身体が血糖値を下げるために水で薄めようとするからです。水分をとる量が多いと、当然おしっこも増えます。
また、もっと血糖値が高くなると(500mg/dl以上)、気分が悪くなってボーっとしたり、最悪の場合意識を失ってしまうことがあります。
血糖値が低い(低血糖)とおこりやすい症状
血糖値が低くなることを低血糖といいます。一般的には、血糖値が70mg/dl以下になると低血糖といいますが、70mg/dlより低くなっても症状が現れない方もいます。
血糖値が下がると、次のような症状が現れます。
- 胸がどきどきする
- 手足が震える
- 冷や汗が出る
- 気持ちが悪い
- 吐き気がする
- ふらふらする
さらに血糖値が下がり50mg/dl以下になると、あくびが止まらなくなり、頭痛がおこります。
もっと血糖値が下がってしまうと意識を失ったり、けいれんをおこしたりすることもあり、命にかかわるケースも少なくありません。
糖尿病を放置しているとおこりやすい症状や病気
血糖値が高い糖尿病の状態が長く続く、いわゆる糖尿病を放置していると、糖分が全身の血管や神経に炎症をおこして全身にさまざまな影響を与えます。
たとえば血管がダメージを受けると、硬くなったりもろくなったり、詰まりやすくなります。
その結果、以下のような症状や病気になります。
- 血管が硬くなる(動脈硬化)
- 血圧が高くなる(高血圧)
- 心臓の血管が狭く・もろくなる(狭心症・心筋梗塞)
- 脳の血管が狭く・もろくなる(脳梗塞)
- 足の先の血管が細くなり、詰まる(下肢動脈狭窄・閉塞)
- 目が見えにくくなる・見えなくなる(糖尿病性網膜症)
- 腎臓の働きが悪くなる(糖尿病性腎症)
さらに、神経の伝達がにぶくなると感覚がわかりにくくなり、以下のような症状や病気になります。
- 手先や足先がしびれる感覚がにぶくなる
- 汗をかきにくくなる
- 寒暖差がわかりにくい
- 足先の感覚がにぶくなり、けがをしても痛くない
そのほかにも、糖尿病の方は感染症にかかりやすいだけでなく、重症化しやすく治りにくいです。また、次のような病気のリスクが上がることがわかっています。
- アルツハイマー型認知症:2.1倍
- 脳血管疾患:1.8倍
- 骨粗鬆症:2~4倍
これらの症状や病気は、糖尿病の治療が遅れれば遅れるほど重症化します。たとえ治療をしていても、生活習慣が改善されず血糖値が高い状態が続くと重症化のリスクが高まります。
合併症をおこしてしまうと、失明したり、透析が必要になったり……。時には命にかかわることもあります。
「糖尿病」だといわれた方に限らず、「糖尿病の毛がある」「将来糖尿病になる可能性がある」といわれた方も、定期的な受診と検査で早期の診断・治療を受け、合併症をおこなさいようにしたいですね。
検査結果にあらわれる症状(所見)
糖尿病の方は、以下の検査結果項目に症状(所見)があらわれます。
項目 | 数値 | |
随時血糖値 | 随時血糖値とは、食事と関係ないタイミングで測定した血糖値 | 200㎎/dl以上で糖尿病の可能性がある |
空腹時血糖値 | 空腹時血糖値とは、10時間以上食事をしない状態で測定した血糖値 | 早朝空腹時血糖126㎎/dl以上で糖尿病の可能性がある |
75gOGTT | 空腹時にブドウ糖を飲み、採血を行い血糖値の推移を調べる検査 | 2時間後の血糖値が200㎎/dl以上で糖尿病の可能性がある |
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー) | 血液中のヘモグロビンに糖分がくっついてできる糖化たんぱくの量を調べる過去1~2ヵ月間の血糖値が反映される | 6.5以上で糖尿病の可能性がある |
GA(グリコアルブミン) | 血液中にある糖がくっついたアルブミンの量を調べる過去2~3週間の血糖値が反映される | 6.5%以上で糖尿病の可能性がある |
尿検査 | 尿に含まれる糖分を調べる | (+)もしくは陽性で糖尿病の可能性がある |
なお、糖尿病かどうかはHbA1c値や空腹時・食後2時間血糖値などの検査結果や、のどの渇き、尿が多い、水をよく飲むなどの症状から総合的に診断します。
検査結果で気になる症状(項目)がある方は、ぜひ一度かかりつけ医にご相談ください。
私は糖尿病かも?気になる人におすすめ糖尿病セルフチェックリスト
予備軍も含めると6人に1人がかかっているといわれる“糖尿病”。
もしかするとあなた自身も、あなたの大切な人も糖尿病かもしれません。
今回は糖尿病の方によくある症状や所見をまとめた、糖尿病セルフチェックリストをご紹介します。当てはまる項目が多ければ多いほど、糖尿病の可能性が高いです。
なおこのチェックリストの項目に当てはまったからといって、糖尿病であるとは断言できません。さらに、当てはまらないからといって糖尿病ではないともいえません。
糖尿病は検査結果や症状から、総合的に診断する病気です。自己判断で『自分は大丈夫』と思い込んで、糖尿病の診断・治療が遅れないようにしてください。
一つでも気になる項目がある方は、はやめにかかりつけ医に相談ください。
- 適正体重よりも体重が多い
- 過去5年間で体重が増えた
- 若い頃よりも体重が増えた
- 運動する習慣がない
- 歩くより車に乗っている時間の方が長い
- 家族や親族、同居の家族に糖尿病の人がいる
- よくのどが渇く
- すぐにお腹がすく
- 食べても食べても体重が減る
- おしっこが多い
- 尿が泡立つ
- 水分を多く飲む
- 疲れやすい
- 手足がかゆい
- 身体が乾燥している
- 手足がしびれる、痛い
- 傷が治りにくい
- 風邪を引きやすい
- 目が見えにくい
- 下痢や便秘などお腹の調子が悪い
- お酒をよく飲む
- 外食が多い
糖尿病に関する相談はふくろうの森のクリニックへ!

糖尿病は病気が進行しないと、明らかな自覚症状が現れにくい病気です。
しかし何らかの症状を自覚するころには、全身にさまざまな合併症を抱え、あなたの健康寿命を脅かす恐ろしい病気です。
糖尿病かどうかは、採血や医師の問診で診断できます。糖尿病はお一人おひとりに合わせた生活の改善や治療をおこなうことで、健康な方と変わらない生活を送ることも不可能ではありません。
そのためには、あなたのライフスタイルにあった治療を提供してくれるかかりつけ医の存在が重要です。
東京都小平市の花小金井駅徒歩5分のふくろうの森クリニックでは、耳鼻咽喉科だけでなく内科・皮膚科の病気を患っている患者さんの治療もおこなっています。
土日も診療が受けられますので、お気軽にふくろうの森クリニックへご相談ください。

参考資料
1)糖尿病 一般社団法人日本内分泌学会
http://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=11
2)糖尿病診療ガイドライン2024
https://www.jds.or.jp/modules/publication/index.php?content_id=4
4)糖尿病とは 糖尿病情報センター 国立国際医療研究センター
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