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ふくろうの森クリニック
院長 山田正人

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2025.02.04

糖尿病は血液中のブドウ糖が増える病気です。初期にはほとんど症状はありませんが、進行すると目や腎臓をはじめ全身にさまざまな症状が起こります。糖尿病を放置して重篤化した場合、合併症により人工透析や失明、手足の壊疽を引き起こすリスクもあります。

健康診断で血糖値が高いと指摘された方は、放置せず医療機関を受診しましょう。早めに受診し治療を受けることで、症状の進行を抑えられます。

この記事では、糖尿病を放置して症状が進行した際のリスクについて解説します。糖尿病を悪化させないために日頃からできることも紹介しますので、糖尿病の症状について知りたい方はぜひ参考にしてください。

糖尿病の放置により生じるリスクは?人工透析や手術が必要になることも

糖尿病が進行すると血液中のブドウ糖が毛細血管を傷つけることで、全身に症状が起こります。

糖尿病が進行した際に起こる症状として、代表的なものを5つ紹介します。

  • 白内障、眼底出血などの網膜症
  • 腎症による腎機能低下
  • 神経障害によるしびれや痛み
  • 歯周病
  • 感染症

中でも網膜症、腎症、神経障害は糖尿病の三大合併症として知られています。

それぞれの症状や、重症化した際のリスクについて具体的に解説します。

白内障、眼底出血などの網膜症

網膜とは目においてスクリーンの働きをする場所です。糖尿病を発症すると白内障や眼底出血、網膜剥離のリスクがあり、最悪の場合失明にいたるケースもあります(※1)。

糖尿病網膜症は症状が進行しても自覚症状のない例が多いため、放置すると気づかないうちに網膜症が進行するリスクがあります。

糖尿病が進行するとより網膜症のリスクが高くなるため、予防するためにも日頃から血糖コントロールが重要です。

網膜症の発症や進行を防ぐためにも、糖尿病と診断されたら最低でも1年に1回は眼科を受診して定期健診を受けましょう(※2)。

(※1)網膜症|糖尿病情報センター
(※2)糖尿病診療ガイドライン 2024 8章 糖尿病網膜症|日本糖尿病学会

腎症による腎機能低下

腎臓は老廃物の排出や水分量の調節を担う臓器です。網膜症と同じく初期の腎症には自覚症状がないため、検査により腎機能をチェックする必要があります。

腎臓が十分に機能しないと体内から不要な成分が排出されないため、腎症が重篤化すると腎臓の機能を人工的に補う人工透析が必要になります。

腎症の予防には血糖コントロールのほか、血圧や脂質のコントロールも重要です(※1)。

(※1)腎症|糖尿病情報センター

神経障害によるしびれや痛み

神経障害とは、神経に栄養を与える血管が傷つき神経の代謝に影響を及ぼす症状のことです(※1)。

神経は全身に分布しているため、神経障害の症状には手足から内臓までさまざまなものがあります。例えば感覚を司る神経が障害を受けると、しびれや痛みを引き起こします。

逆に感覚が鈍くなり、気づかないうちにケガが悪化・化膿すると治療が困難です。重篤な例では壊疽を起こし、切断が必要になる例も。

神経障害の診断には、反射や刺激に対する反応を確認する方法があります。治療には血糖コントロールのほか、症状に応じて痛みを抑える治療を行います。

(※1)神経障害|糖尿病情報センター

歯周病

1型糖尿病患者や2型糖尿病患者でHbA1cが6.5%以上に該当する方は、歯周病や歯周炎の発症リスクが高いことがわかっています(※1)。原因としてブドウ糖により一部の細菌が増殖しやすい点、高血糖による脱水で口が乾きやすく細菌が繁殖しやすい点が挙げられます。

歯周病を予防するためには、日頃から丁寧にブラッシングを行いプラーク(歯垢)を落とすことが大切です。加えて定期的に歯科を受診し、メンテナンスを受けて歯周ポケットのプラーク、歯石を取り除くと良いでしょう。

(※1)糖尿病ガイドライン2024 16章 糖尿病と歯周病|日本糖尿病学会

感染症

糖尿病は免疫に関わる細胞の機能を低下させるため、感染症にかかりやすくなることがわかっています。

特に次の病気にかかりやすい傾向があります(※1)。

  • 膀胱炎などの尿路感染症
  • 肺炎などの呼吸器感染症
  • カンジダ、水虫などの皮膚感染症

感染症を予防するには血糖コントロールのほか、一部の感染症についてはワクチン接種も有効です。

神経障害によって自覚がないうちに感染症が進行してしまう可能性もありますので、自分の体調には日頃から注意を払いましょう。

(※1)糖尿病と感染症のはなし|糖尿病情報センター

糖尿病を悪化させないためにできること

糖尿病を悪化させないために、日頃からできることを3点解説します。

  • 病院を受診して薬を服用する
  • 食生活を見直す
  • こまめに運動する習慣をつける

生活の中で血糖値をコントロールしていくことが大切です。

病院を受診して薬を服用する

糖尿病は、気づいた段階で放置せずにすぐ医療機関を受診し治療を始めることが大切です。医療機関では血糖値だけでなくより詳しい検査を行い、医師があなたの症状に合った治療薬を処方してくれるでしょう。

糖尿病の薬として有名なのはインスリンですが、2型糖尿病で症状が軽度であれば飲み薬が処方されます。症状によっては複数の薬を組み合わせる場合もあります。

食生活を見直す

糖尿病を改善するために必須なのが、食生活の見直しです。

薬で治療をしていても、日頃から糖質の多い食事を摂っていると血糖値は下がりません。食事の量は腹八分目を目安にするとともに、食事の内容も見直しましょう。

2型糖尿病の血糖コントロールのために、糖質の制限や食物繊維の積極的な摂取が有効であることが今までの研究でわかっています(※1)。炭水化物を控えて、野菜を多めに撮ることを心がけましょう。

食物繊維は野菜、穀物、大豆、きのこ、果物、海藻などの食品に多く含まれる成分です。お通じを促す作用や、小腸による栄養の吸収を穏やかにする作用があります。

(※1)糖尿病ガイドライン2024 3章 食事療法|日本糖尿病学会

こまめに運動する習慣をつける

2型糖尿病に有酸素運動と筋力トレーニング(レジスタンス運動)が有効であることがわかっています。生活の中でこまめに運動する習慣をつけましょう。

運動療法は2型糖尿病において、血糖コントロールやインスリン抵抗性、肥満を改善します。よって食事療法と同様に、運動療法も糖尿病治療に必要不可欠です。

まずはウォーキングを生活に取り入れる、エスカレーターの代わりに階段を使うなど簡単にできそうなことから始めてみましょう。

適切な運動量やメニューは年齢、症状によって異なります。肥満の方は、激しい運動により膝に負担がかかるリスクもあります。また持病のある方や高齢の方は、体に過度な負担をかけないよう注意が必要です。

必要な運動量については、医師に相談してみましょう。

(※1)糖尿病ガイドライン2024 4章 運動療法|日本糖尿病学会

糖尿病と診断されたら、まずは放置せずに受診を

健康診断や病院の検査で糖尿病と診断されたら、「症状がないから」と放置せずまずは医療機関を受診しましょう。

糖尿病内科や内科では、糖尿病の状態をより詳しく調べる検査を受けられます。検査の結果を踏まえて、医師があなたの状態に合った治療法を提案します。

ふくろうの森耳鼻咽喉科では、耳鼻咽喉科のほか内科を診療しています。花小金井駅から徒歩5分の場所にあり、ネット予約が可能です。

「糖尿病について医師に相談したいけど、どのクリニックに通うか迷っている…」という方は、当院でもご相談を承ります。お気軽にご来院ください。

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